SharpcapのPlate solve機能を使って、アライメント星の選択やセンタリングをせずに、指定座標にSlew→Plate solve & SyncだけでAZ-GTiのアライメントは取れるのかを試しました。
AZ-GTiでのPlate solveを使ったアライメント方法としては、以下の手順で行われている場合が多いようです。
- SynscanアプリからNスターアライメントを実行
- SharpcapのPlate solve機能(Offset the mounts position to center the target:マウント位置をオフセットして、天体を中央に配置する)で目標天体を写野中心に捉える
- Synscanアプリでアライメント完了を押し、次のアライメント星へ
これでアライメントできるのですが、この手順には次のような不満点があります。
- 視界が限られたベランダからの観測では、特に3スターアライメントなどではアライメント星が見える範囲にとれない場合がある。
- 観望天体導入後の追尾精度向上のため、アライメント後はSharpcapのPlate solve設定は「Sync Mount and Re-center target」で使いたい。アライメント後にオプションを切り替えるのが面倒。
- 上記2のセンタリング手順が省略できればもっと短時間で終わるのに…
Plate solve & Syncでアライメントが取れるなら、これら不満点がすべて解消します。
Plate solve & SyncによるAZ-GTiのアライメントの情報を探しましたが、以外とネットに情報がない?
ですがSynscanの更新履歴を見ると、2023-09-02のv2.4.5に以下のような記述があります。
• Replaced "Align with Sync" page with "Sync samples" page.
• Multi-star alignment, where performing any of the following adds a sync sample:
• Using one of the alignment methods from the Alignment page
• Centering on a celestial object at the prompt after any catalog object GOTO
• Receiving a `SyncTo` command from ASCOM with a plate-solving software
実際、Nスターアライメントを実行した場合、SynscanアプリのSync samplesにその情報が追加されます。この書き方を見ると、Synscanアプリのアライメントページからどれかのアライメント方法を実行するのと、ASCOM経由でSyncToするのは同じであるように読み取れます。
そして2023-09-19のv2.4.8から、Sharpcapでオートアライメントするためのスクリプトが同梱されているんですよね…
• Windows: bundle SharpCap AutoAlign scripts under "SharpCap scripts"
というわけで、実際にやってみました。やり方としては、まずAZ-GTiはホームポジションから始めます。Sharpcapでは、Plate solveのオプションは「Sync Mount and Re-center target」のまま。そして全自動でのアライメントのため、Sequencer機能を使います。
メインメニューのSequencer→EditからSequence Editorを開きます。この機能を使うと、コードを書かなくてもSharpcapのいろんな動作を自動実行させるマクロを組めます。この機能を使って、「特定の方向に向ける→Plate solve & Sync」を3回実行するように設定し、3スターアライメントを試みます。ここでうれしいことに、Sequence EditorのMOUNT GOTOコマンドは目標座標をRA/DECだけでなくAltitude/Azimuthで指定できます。Alt/Azで指定すれば、限られたベランダの視界から確実に見える方位・高度を観測時間に関係なく指定可能です。
Synscanアプリのマニュアルの「SYNC: CHOOSING ALIGNMENT STAR」によれば、3スターアライメントの場合、最初の2点は同じくらいの高度、3点目は高度を30度以上離すことが推奨されています。
Alt-azimuth mount
– Altitude is between 15 and 60 degrees
– Difference between altitudes is between 10 and 30 degrees
– Difference between azimuth is between 45 and 135 degrees
– For 3-Star alignment, the first two stars should have similar altitude and the 3rd star should have 30 degree or more variant in altitude compared to at least one of the first two stars.
これを参考に、うちのベランダから見える範囲でアライメントエリア3点の方位・高度を決め、Sequence Editorに入力したのが以下の状態です。このSequenceは保存しておけば次回から読みこむだけで実行できるのでらくちんです。
Synscanのアライメントをリセットしてから実行してみた結果、このPlate solve & Sync法でもきちんとSync sampleが追加され、アライメントパラメータも定まっています。もちろんアライメント後の導入と追尾も問題なし。以下はアライメントを実行しているときのSynscanアプリの動画です。
というわけで、AZ-GTiはPlate solve & Syncだけでアライメントできることがわかりました。十分見通しのよい屋外ではSynscanアプリのSynMatrix AutoAlignを使った方が早いですが、視界の限られたベランダからのアライメントには役立つと思います。
SharpcapのPlate solveがBlind Solveできればマウントは適当な方向に向けた状態から開始できそうな気もしますが、それは試していません。
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